PMI-ACPに合格しました。いわゆる合格体験記です。あまり日本語情報のない試験なので、記事にします。

↑は合格バッジです。

PMI-ACPとは

PMI-ACPはアジャイル開発の資格です。プロジェクトマネジメントで有名なPMP試験を運営しているPMIが実施しています。

日本ではまだ無名です。PMI日本支部のアニュアルレポートでは2019年時点で日本で94名のみです。世界では32,781名です。PMPが日本で38,191名、世界で997,608名ですので、世界的にもまだまだ普及の余地があります。

受験動機

PMI-ACPを受けるに先だってPMPを受験しました。PMBOKは第6版でアジャイルについての対応を増やしており、PMBOKとは別冊としてアジャイル実務ガイドが出版されています(PMI会員なら無料で日本語版PDFをダウンロードできます)。
実のところアジャイルよりウォーターフォールのほうが好きなのですが、だからといってアジャイルを避けるということはもう不合理になってきていると感じます。しかしアジャイル一辺倒になるのも間違いで、対象業務により取捨選択したいところです。その意味で、PMBOKがアジャイル対応を増やし、選択的に採用する道筋を示してもらえているのは丁度良いように思います。

ただ、PMP試験のアジャイル分野出題は2021年に延期されました。現段階ではあまり出題がなく、そのためe-learning等でもあまりカバーされません。アジャイルをしっかりと学習したかったため、PMI-ACPも受けることにしました。

日本で有名なアジャイル資格は認定スクラムマスター(CSM)ですが、その名の通りスクラムに特化しています。一方、PMI-ACPはスクラム・XP・リーン・カンバンなど幅広くカバーしています。CSMと違って集合研修によるトレーニングは求められないので現場で使うには少々物足りないかもしれませんが、手法の選択の幅を増やす目的ではPMI-ACPのほうが都合がよいです。

学習方法

PMI-ACPの受験資格には「21時間の研修を受けること」というのがありますので、それに対応したe-learningを受講して、模擬試験1回やってGO! でした。e-learningも模擬試験もudemyです。セール時期に買えばそれぞれ1,400円ぐらいです。

とはいうものの、e-learningは30時間以上かけたように思います。研修はweb上だけで条件を満たすのですが、いかんせん日本語の研修がありません(2020年5月に日本語eラーニングコースができました)。英語と格闘しながらでした。半分ほどの内容は知っていた内容でしたのでなんとかスライドの意図は汲み取れたという感じです。途中から英語字幕をgoogle翻訳で表示するようにしました。
学生の時は「これからは国際化の時代」とか言われていましたが、この数年間で英語に触れる機会がものすごく増えました。英語流し読みできなくてきついです。諸先輩方に英語の勉強を始める人が多いのが分かってきた気がします。

学習後の感想

狙い通り、PMPの内容と整合性を取れる形で勉強を進められました。
PMPよりも組織論やリーダーシップの内容が多いので大学(経営学部)でやった内容の復習みたいなものも多かったです。
「エマージェントリーダーシップ? コンティンジェンシー理論のことかな」
「自己組織化ってラーニングオーガニゼーションのことか……(絶望)」
バリューストリームマップは『ザ・ゴール』で読んだな」
「正味現在価値って、ここで会計がでてくるのか」
などなど。フィッシュボーンチャートとかはQC活動でやりますし、過去の学習の集大成的な感じがしました。

それなだけに学習内容はハードルが高いように感じます。現在のところ、スクラムのような軽量なフレームワークを深く突き詰めたほうが投資へのリターンは得やすいかもしれません。
有識者が増えていけばわかりやすい説明と経験が世にあふれ、ハードルが下がっていきます。その意味ではまだ学習は後日としていいのかもしれませんが、学習と経験は両輪です。今のうちに学習しておけたので、今後の経験を活かしやすくなるだろうと期待しています。